カマタ_ブリッヂ1F再開発 ⑤
2021.07.01
私たちが考えるカマタ_ブリッヂ1階に入ってもらいたいお店は、 安価な総菜パンがメインに並ぶチェーン店ではない。 きちんと美味しいのはもちろんのこと、職人さんの純粋なこだわりがきちんと形に表れているような魅力的なパン屋さんだ。
私たちはそれを「アトリエ系パン屋」と呼んでいる。そのパン屋さんはきっとまちの人から信頼され、愛されるだろう。そんなアトリエ系パン屋の開業を諦められず、既に開業されていて良いなと思ったパン屋さんにピンポイントでアプローチ(営業)しに行くため、自己紹介がわりの冊子を手作りした。
仙六屋という会社、これまでの活動、物件情報、独自のマーケティングリサーチの結果、開業にあたって協力できること、 なぜパン屋さんにこだわるのか、 私たちの思い、、、これらがぎゅっと詰まったものになった。
当初パンドミが何を指すのかもわからなかったのに、訪問を繰り返すうちにパン・パン屋さんにどんどん詳しくなっていく自分が我ながら面白かった。 そんな程度の知識だった私の話をお忙しいなかにも関わらず 聞いて下さった方々に、この場を借りて感謝申し上げる。
移転や2号店の打診をしながら回り、ほぼ100%お断りかその後連絡なしという不名誉な結果だったのだが、成功されている有名パン屋さんを回ったことで得られた収穫はたくさんあった。
例えば、 ほぼ全員の方が家賃設定がかなり魅力的だと言ってくださったこと。また若干不安要素でもあったカマタ_ブリッヂの立地条件を数名の方が大丈夫だと背中を押してくださったこと。このお陰で、何カ月も物件に問合せがない状況が続いていても、きっと誰かいい人に見つかるはずだと希望をもつことができた。
また、冊子を手渡してご説明した際にこちらの思いに共感して下さり、冊子を開業希望のお知り合いに何部も配ってくださった方もいらっしゃったりと、大変ありがたくとても嬉しかった。
そんな中、「パン屋さんは忙しくて時間が無いから、現地をぱっと見た印象が良くないといけない。ここで商売ができそうというポジティブな印象が大事だから、隣の2店舗が閉まっているのがネック。カフェやロースタリーなどの開業が先じゃないかな。そうしたら決まると思うよ。」とおっしゃるパン屋さんがいらした。
このアドバイスは妙に説得感があって、もともと「小さな商店街」というコンセプトの核となるパン屋を優先していたのだが、もしかしたらカフェが先だったのかもしれないと思うようになった。
別の業務を優先する必要があったこともあるが、 パン屋さんへの直接アプローチも徐々にペースが落ち着いてきたころ、カマタ_ブリッヂの募集に動きがあった。
パン屋予定地の隣の部屋に、カフェ開業希望者が現れ、先のアドバイスを期待させる展開となったのだ。
そして無事契約。2020年6月、パン屋予定地の隣に待望のカフェ、「SSYET」が誕生したのだった。 (山室興作)