カマタ_ブリッヂ1F再開発 ⑨
2021.12.07
カマタ_ブリッヂ103での「はんびらき」開催期間が終わり、しばらくすると103の上階となる203の入居者が退去し、上下階がガランと空くこととなった。
「上下階のセット販売はどうだろう。」
昔の個人商店の多くは1階に店舗、2階に住居という構えで、働く場と住まう場が密接した暮らしだった。現代では働く場と住まう場は別々の場所にあり、公共交通機関などを使って移動する暮らしが基本となっているだろう。しかし近年、単一機能だけの施設や地域からの脱却にむけた取り組みが一部で積極的に目指されるようになった。建築業界を中心に職住近接や職住一体の提案が少しずつ不動産業界にも拡がってきて、確かなニーズの存在を実感している。
今回、そんな職住近接住宅(店舗)の基本構成が、賃貸マンションの上下別々の区画にちょうどすっぽり収まったことに面白みがあると思っている。 一般的に商品単体が売れ残ったらセット販売に切り替える戦略はありふれているが、ことテナント募集においては同様の事例はめったにないだろう。空き室が出た時期と部屋同士の位置関係、時代性、建物のコンセプト、入居テナントの意思がすべて合致した珍しいケースだと思われる。
そうして2021年12月。「Special End」が待望の103に誕生した。(11月中はプレオープン) 大森山王ブリュワリーによる2号店で、クラフトビールを販売する。店内ではグラウラーを使用して量り売りを行っており、その場で試し飲みもできる。訪れている人たちの表情は楽し気で、イキイキした良い風景がガラス戸越しにまちに現れていた。
実は103でのはんびらき開催期間中、大森山王ブリュワリーの代表が103を見学に来られていた。仙六屋代表の茨田とは面識があるなどもともとご縁があったのだと思うが、今回の入居は空き物件のシャッターを開けて賑わいの場として運用していたことの最大の成果となったと思う。今後は我々に変わりSpecial Endによって場がまちに開かれ、ビールを介した豊かな会話と風景を蒲田の日常に生み出していく。 (山室興作)