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カマタ_ブリッヂ1F再開発 ⑧

2021.09.24

103のテナント募集は難産だった。テナント募集は2019年9月から開始したものの望ましいテナントに出会えず、2020年に入ると新型コロナウィルスの感染拡大が起こり、2021年前半は感染者の増加がより深刻化してしまった。新規店舗を開業するには社会状況的に厳しい逆風が吹く中、シャッターが開くことなくただただ時間が過ぎていくだけの状況だった。

といっても問い合わせ自体はゼロではなかった。コーヒーロースタリー、カフェ、ウィスキー屋のストレージ、建築設計事務所などなど、何も考えなかったらOKとしていたテナントもあったと思う。ただこの建物の第2章となるコンセプトである「小さな商店街」をつくり上げるためには、まちにひらいた性格の店舗がどうしても必要だった。隣のカフェ&バーと第2章の必須条件として誘致にこだわったパン屋との組み合わせも考えると、ここにハマる店舗の種類を自分たちでだいぶ狭くしていたとも言える。

なかなか状況が好転しないので、2020年12月末~2021年3月末まで「はんびらき」というイベントを103で行った。テナントが決まらずずっとシャッターが開かないのなら、いっそ開けてしまい地域の人たちの表現の場として自由に使ってもらおう、という実験的な企画である。「シーナと一平」「ニシイケバレイ」(豊島区)の運営に関わる日神山晃一さんとご縁があり、アドバイザーとなっていただき企画をご提案していただいた。

期間中は趣味のハンドメイド作品の展示販売やワークショップなど、多くの地域住民の方たちの参加により地域に活気をもたらした。この取り組みが今回の103の入居テナントにつながることになる。この「はんびらき」については、別のトピックとして今度きちんとまとめようと思う。(山室興作)