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はんびらき⑥

2021.12.24

3月のはんびらきは11組の参加者によって開催することとなり、仙六屋の定休日である月曜日と2日間を除いて賑わいを見せた。それぞれ個性の違う場所の使い方があったので紹介したい。

近隣の東邦大学の学生による個展、instagramフォロワー2.5万人を越えるフェルト作家による個展、実店舗の開業前のテスト営業、個人活動で制作したオリジナル商品のユーザーテスト、カマタ_ブリッヂ上階住人による染物ワークショップ、子供向けものづくりワークショップ、ハンドメイドアクセサリーやマルシェ、、、

様々な活動がほぼ毎日まちに表出したことで、近くに住む人たちにとってははんびらきが日常風景と化していて、「今日は何屋さんかな?」「明日は〇〇さんのお店だ」と通りがけに室内やイベントカレンダーを覗いて帰る人もいた。日替わりでちょっと楽しく賑やかっぽい事が町中にあると、どこかワクワク感のような何かが生まれ、明日などちょっと先の未来に意識がいくのではないだろうか。もちろん興味なく通り過ぎる人もいるが、何の変哲もなかった地元の日常のなかで、僅かながらでも人々の意識を自分たちのまちに向けられたかもしれない。

大いに盛り上がったはんびらきだが、3カ月の試験運用として一旦終了し、次回(4月)の募集は行わなかった。というのも、カマタ_ブリッヂ103のもともとの目標は「長期テナントの入居」だからだ。はんびらきは新しいテナント募集の手法として有効だと思っているが、この活動を長く続けていたら逆に長期テナントが決まらないプロジェクトという見え方になってしまうだろう。

はんびらきは、カマタ_ブリッヂ限定の空き室活用プロジェクトではない。あらゆる閉ざされた未活用スペースへの拡大を視野に入れている。つまり自分たちの物件だけでなく、思いを共感する他オーナーの物件でもはんびらきを開催していきたいと考えている。はんびらきがきちんと成熟して裾野が拡がれば、人々が気軽に自分の活動を始められる場が必ずまちに点在している状況となり、はんびらきのあるまちはきっとイキイキしたものになるだろう。はんびらきのプロジェクトは近隣で盛り上がっていただけに残念がる声もあったが、場所を転々としていくのがはんびらきの面白い特性でもある。 一旦終了してプロジェクトをジャンプアップさせる準備期間をつくり、 3ヶ月間の活動を振り返った。(山室興作)