パン屋MAP以外にもいくつかのリサーチを重ね、この場所がいかにパン屋さんに適しているかというリサーチ結果を携えながら、仙六屋のFacebook上で「パン屋さん限定」という特殊な条件での募集を開始した。

すると、多くの人がこの取り組みを面白がってくださり、この投稿がどんどんと拡散された。エリアに必要な業種をピンポイントで募集するこの試みはとても珍しく、また本来コンサルに頼むような 場所の分析などをオーナー自ら行った姿勢を評価してもらったことで、たくさんの協力者が現れたのだと思う。まちにパン屋ができるというみんなのメリットが感じられた要素も大きいように思う。

その後募集サイトにも掲載され、ありがたいことに問い合わせが数件あったが、残念ながらいずれも条件が合わず実らなかった。期待は儚く散り、さらには問い合わせすらパタッと止み、期待感から一転して現実がそう甘くないことを知った。

ただ、ここでパン屋さんを諦めて別ジャンルのお店もOKとはしたくない。そこで、募集を続けながらパン屋を直接訪問してきちんと情報と熱意を直に伝えに行こうと決めた。募集結果が芳しくないのはきっとまだパン屋のネットワークに募集情報が届いてないからではと仮説を立て、 何もしないまま問い合わせが来るのを待つのではなく、まずは都内を中心にここに来てほしいパン屋さんのリサーチを始めた。

そこに話を持っていけば、もしかしたら移転、2号店、開業を目指して修行中のスタッフの方にも情報が届くのでは。そんな新しい期待をもち、手作りのブックレットと名刺をもって直接パン屋さんに営業に行く旅が始まった。 （山室興作）